「塾なんてぜったいに行かない」
そう言っていた息子がTOP→PASSに体験入塾したのは、小学6年生の12月でした。
その頃、息子のクラスでは中学受験を控えたクラスメートたちが模試の結果や志望校の話で盛り上がっていたようです。そんなクラスメートたちの姿を見て、息子も刺激を受けたのでしょう。あれだけ嫌がっていた塾に興味をもちはじめました。「自分もいずれ受験生になるのだから、今から勉強したほうがいいのでは?」という思いと共に、中学受験組があたりまえのように通っている塾がどんなところなのか興味をひかれたのかもしれません。
子供が興味をもったときこそがチャンス!と思った私は、さっそく塾探しをはじめましたが、当初は個別指導の塾を考えていました。
個別指導のほうが息子の学力に応じたきめ細かい指導を受けられるのではないかと期待していたこともありますが、集団指導には学習面以外にも不安があったからです。
それは一緒に机をならべる友達との関係です。私は中学校の教師をしていたことがあるのですが、塾に通っているお子さんが、そこでできた友達と夜遅くまで遊ぶようなったり、お互いに悪い影響を与えるだけでちっとも勉強に身が入らないまま受験期を迎えたりするケースを多々見てきました。もし、息子がそうなってしまったら……。集団指導の塾には未知のリスクがあるように思えました。
しかし、息子はどうしても個別指導はいやだと言い張りました。
そこで仕方なく、集団指導をしている塾をいくつかピックアップし、その中からふたつに絞りました。
ひとつは近所の某大手塾、そしてもうひとつがTOP→PASSでした。
まず某大手塾で入塾前テストを受けました。結果はまあまあでしたが、面接をした先生は息子をべた褒めし、高校や大学選びがいかに重要であるかについて熱弁をふるわれておりました。
次にTOP→PASSでテストを受けました。結果はそこそこで、面接では息子のできていないところを指摘されました。
この時点で、私はきっと息子は某大手塾のほうを選ぶだろうと思っていました。
およそ「先生」と呼ばれる立場の人から褒められたことのなかった息子は、某大手塾の先生に称賛されて小躍りしていたからです。
ところが、両塾での体験を終えた息子が選んだのはTOP→PASSでした。理由を聞くと、返ってきたのは「なんとなく」という言葉。私は息子の気持ちがよくわかりませんでしたが、とりあえず希望どおりTOP→PASSに通わせることに決めました。
それから時が経ち、息子は中学2年生になりました。
今の息子にとってTOP→PASSは勉強を教わるためだけの場ではなく、なくてはならない心の拠り所になっています。
2年前に息子が放った「なんとなく」の言葉。私はそれを息子が肌で感じた「安心感」のことだと解釈しています。
学校とは違い、特に進学塾は受験に特化した場所ですから、子供たちは勉強することを求められます。ですが、思春期にある彼らにとっていちばん大事なことは、自分の所属する場所に「安心感」を覚えられるかどうかなのではないでしょうか。
安心して過ごせる場でなければ、落ち着いて勉強したり、じっくり物事を考えたり、自分の意見を口にしたりすることはできません。
そしてそれは当然、テストの結果にも影響します。息子は実際にTOP→PASSに通ってみて、きっとこの「安心感」に心地よさを覚えたのでしょう。
また、私が危惧していた友達関係もまったく問題ありませんでした。
息子の学年に真面目で学習意欲のある子供たちが集まったからではなく、TOP→PASSの雰囲気がそうさせているのだと思います。
けれどもそれは塾の先生たちが監視の目を光らせているということではありません。むしろ「質の高い放任」を掲げているように、TOP→PASSでは子供の自主性や主体性が尊重されます。自分らしくいられる場所、安心して過ごせる場所、選択の自由がある場所だからこそ、心を落ち着かせて学習に集中することができるのです。
それでもこの2年間、なんの迷いもなく過ごしてきたわけではありません。
ある時、息子が突然、「私立高校を第一志望にしたい」と言い出し、そのために転塾を考えたこともありました。TOP→PASSが上位都立高校を目指す塾であることが息子の中での不安材料だったようです。
ですが、実際に某大手進学塾に一週間ほど体験入塾してみた結果、やはりTOP→PASSでがんばることに決めました。
TOP→PASSにも毎年、上位の私立高校に進学する生徒がいること、授業内容にそれほど大きなちがいがなかったことなどもありますが、何よりアットホームな雰囲気が決め手になったようです。小さい個人塾だからこその強みがつまった塾、それがTOP→PASSだと思います。
先日、あらためて息子にTOP→PASSの良いところを聞いてみました。
すると「ほんわかしているところ」とのことでした。今年は受験生になりますが、きっとこの塾でなら安心して最後までやりきれると信じています。